紹介状なしで大病院にかかると発生する費用(選定療養費)

紹介状を持たずに大きな病院にかかると、診察代とは別に「選定療養費」がかかります。初診で7,000円以上です。どの病院が対象で、どんなときに免除されるのか。そして、その前にかかるべき診療所をどう探すかを説明します。

選定療養費とは

紹介状を持たずに大きな病院を受診したとき、健康保険の自己負担とは別に支払う費用です。保険がきかないので、金額の全額が自己負担になります。

目的は、病院と診療所の役割分担です。まず身近な診療所にかかり、必要なら紹介してもらって病院へ行く。この流れを促すために設けられています。

対象になる病院

7,000円以上の支払いが法令で義務づけられているのは、次の3つです。

通知 18(1)

特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)及び紹介受診重点医療機関(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)は、(中略)他の保険医療機関等からの紹介なしに受診した患者については、選定療養として、初診時に7,000円(歯科医師である保険医による初診の場合は5,000円)以上の金額の支払を受けることとした。

  • 特定機能病院……大学病院の本院や国立がん研究センターなど。病床数を問わず対象です。
  • 地域医療支援病院……都道府県が承認した、地域の医療機関を支える病院。一般病床200床以上が対象です。
  • 紹介受診重点医療機関……都道府県が公表した、紹介による受診を中心に担う病院。一般病床200床以上が対象です。

「7,000円以上」と書かれているとおり、これは下限です。病院によってはこれより高い額を設定しています。実際の金額は各病院が院内やウェブサイトに掲示しています。

200床以上の病院にも別の仕組みがあります

上の3つに当てはまらなくても、一般病床200床以上の病院は、紹介状なしの初診について費用を徴収できます。こちらは義務ではなく、金額も各病院が決めます。

通知は、次の内容を病院の見やすい場所に分かりやすく明示することを求めています。

他の保険医療機関等からの紹介によらず、当該病院に直接来院した患者については初診に係る費用として○○○○円を徴収する。ただし、緊急その他やむを得ない事情により、他の保険医療機関からの紹介によらず来院した場合にあっては、この限りでない。

徴収する場合は、内容を定めたり変更したりするたびに地方厚生局へ報告することになっています。徴収した患者数などの記録も求められます。

支払わなくてよい場合

紹介状がなくても、次の場合は徴収が認められていません。

  • 救急の患者
  • 国の公費負担医療制度の受給対象者
  • 特定の障害や疾病に着目した地方単独の公費負担医療の受給対象者
  • 無料低額診療事業の対象者
  • エイズ拠点病院におけるHIV感染者

さらに、「正当な理由がある場合」として、病院の判断で求めないことができる場合が10通り挙げられています。主なものを挙げます。

場合
同じ病院の他の診療科から院内で紹介されて受診する
特定健康診査やがん検診の結果、精密検査の受診を指示された
救急医療事業や周産期事業で休日・夜間に受診した
外来受診からそのまま入院した
その診療科を掲げる医療機関が地域に他になく、その病院が実質的に外来を担っている
災害により被害を受けた
労働災害、公務災害、交通事故、自費診療の患者

健診で「精密検査を受けてください」と言われた場合が入っているのは、覚えておくと役に立ちます。ただし、「急を要しない時間外の受診」や「単なる予約受診」など、患者の都合による受診は除くと明記されています。

徴収は初診1回だけ

通知には、徴収できる回数の考え方が書かれています。

  • 同時に2つ以上の病気で初診を受けても、1回しか徴収できない
  • 1つの病気で治療を続けている途中に別の病気が出て初診を受けても、最初の初診時にしか徴収できない
  • 医科と歯科が併設されている病院では、関連のある病気を除き、医科と歯科でそれぞれ徴収できる
  • 自ら健康診断を行った患者の診療を始めた場合は徴収できない

なお、再診についても、病院が他の医療機関に紹介したにもかかわらず患者が引き続きその病院を受診する場合には、別の定額負担の仕組みがあります。

紹介状をもらうには

紹介状(正式には診療情報提供書)は、診療所や中小病院で書いてもらえます。作成には診療情報提供料がかかりますが、選定療養費より安く済むのが一般的です。

まずかかる診療所を決めておくと、この流れがつくりやすくなります。当サイトでは、かかりつけ医としての体制を届け出た医療機関をかかりつけ医機能の届出がある医療機関から探せます。機能強化加算を届け出た医療機関は、必要に応じて専門の医療機関に紹介することが役割に含まれています。

緊急のときは迷わず受診してください

救急の患者からは徴収が認められていません。強い痛み、息苦しさ、意識がおかしいなど、急を要する症状のときは、選定療養費を気にせず受診するか救急車を呼んでください。

受診前の確認

金額は病院ごとに違います。当サイトは選定療養費の金額を掲載していません。地方厚生局は「保険外併用療養費医療機関名簿」を別に公開していますが、当サイトが取り込んでいるのは施設基準の届出受理医療機関名簿だけだからです。

受診予定の病院のウェブサイトか、電話でご確認ください。掲示が義務づけられているので、必ずどこかに書かれています。

この記事は令和8年度診療報酬改定にあわせて改正された通知(令和8年3月27日付け)にもとづく2026年9月時点の内容です。

まとめ

  • 対象の病院を紹介状なしで受診すると、初診時に7,000円以上(歯科は5,000円以上)かかります。
  • 対象は特定機能病院と、一般病床200床以上の地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関です。
  • これは保険がきかない全額自己負担です。診察代とは別にかかります。
  • 救急のときや、健診で精密検査を指示されたときなどは免除されます。
  • 200床以上の一般の病院でも、金額を各病院が決めて徴収できる別の仕組みがあります。
制度は改定されます

診療報酬は2年ごとに改定され、加算の名称・要件・点数が変わります。この記事は2026年9月10日時点の内容です。最新の内容は厚生労働省の資料でご確認ください。

この記事は制度のしくみを説明するもので、特定の医療機関の受診をすすめるものではありません。診断・治療については医師にご相談ください。

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