「施設基準の届出」とは何か

このサイトに並んでいる「オンライン診療」「訪問診療」といった表示は、医療機関が地方厚生局に出している「施設基準の届出」をもとにしています。届出とは何で、名簿には何が書いてあり、そこから何が分かって何が分からないのかを説明します。

施設基準とは

病院や診療所が保険診療を行うと、その内容に応じて診療報酬が支払われます。診療報酬の項目のうち、一定のものは「この条件を満たしている医療機関だけが算定してよい」と決められています。この条件が施設基準です。

条件の中身は項目によって違いますが、おおむね次のようなものです。

  • 人員……常勤の医師や看護師が何人いるか、専任の担当者を置いているか
  • 設備……必要な機器を備えているか、専用の部屋があるか
  • 体制……24時間連絡が取れるようにしているか、他の医療機関と連携しているか
  • 実績……直近1年の診療実績が一定数以上あるか

たとえば「時間外対応体制加算」であれば、診療時間外に患者からの電話にどう応じるかという体制が条件になります。「在宅療養支援診療所」であれば、24時間往診できる体制や、他の医療機関・訪問看護ステーションとの連携が条件です。

届出のしくみ

条件を満たしただけでは算定できません。医療機関が地方厚生(支)局に届け出て、受理される必要があります。

地方厚生局は厚生労働省の出先機関で、全国に8つあります。北海道厚生局、東北厚生局、関東信越厚生局、東海北陸厚生局、近畿厚生局、中国四国厚生局、四国厚生支局、九州厚生局です。医療機関は、自分の所在地を担当する局に届け出ます。

受理されると受理番号が振られ、算定を始められる年月日が決まります。この「受理番号」と「算定開始年月日」は、このあと説明する名簿にそのまま載ります。

逆に、条件を満たさなくなったときは辞退の届出が必要です。届け出たまま条件を満たさずに算定していると、返還を求められることがあります。

届出受理医療機関名簿

受理された届出は、「届出受理医療機関名簿」として各地方厚生局のサイトで毎月公開されています。誰でも見られる公開情報です。

名簿はExcelの表で、1行が1つの届出にあたります。同じ医療機関が10も20も届け出ていれば、その数だけ行が並びます。列は次のようになっています。

列中身
医療機関番号7桁の番号。都道府県コードなどと組み合わせて10桁の医療機関コードになります
医療機関名称・所在地・電話番号そのままの意味です
病床数「一般 231/療養 206」のような書き方。診療所は空欄です
受理届出名称届け出た施設基準の正式名称
受理記号正式名称の略称。「情報通信」「時間外1」など
受理番号受理されたときに振られる番号
算定開始年月日その届出にもとづく算定を始められる日

当サイトが掲載しているのは、この表の内容です。要約も言い換えもしていません。医療機関のページの下にある「出典・データについて」に、どの局のいつの名簿から取ったかを書いています。

正式名称は制度の文言そのまま

受理届出名称は、たとえば「別添1の『第9』の1の(3)に規定する在宅療養支援診療所」のような書き方です。何のことか分かりにくいので、当サイトでは届出の名称を「訪問診療・在宅医療」といった機能に置き換えて探せるようにしています。どの届出をどの機能に対応させているかは、各機能のページに全部書いてあります。

この情報から分かること

名簿から確実に言えるのは、次のことです。

  • その医療機関が、その施設基準を届け出て受理されていること
  • その届出にもとづく算定をいつから始められることになっているか
  • 届出の時点で、その施設基準が求める人員・設備・体制の条件を満たしていたこと

3つめは小さくない情報です。たとえば「情報通信機器を用いた診療に係る基準」を届け出ている医療機関は、オンライン診療を行うための体制を整えて届け出た、ということです。届出をしていない医療機関が保険でオンライン診療を行うことはできません。

この情報から分からないこと

一方で、名簿から分からないことのほうが多いということも、はっきり書いておきます。

実際に対応してもらえるかどうか

届出は体制についてのものであり、個々の患者への対応を約束するものではありません。オンライン診療の届出があっても、初診では対面のみという方針の医療機関はあります。訪問診療の届出があっても、対応できる範囲の外に住んでいれば断られます。

当サイトが「届出あり」としか書かず、「対応している」と書かないのはこのためです。

診療科・診療時間・休診日

名簿にはこれらの列がありません。当サイトでも表示していないか、別の公的データから補っています。受診の前には必ず医療機関にご確認ください。

届出が要らない加算をやっているかどうか

診療報酬の項目には、施設基準の届出が要らないものもあります。届出が要らない項目は、当然ながら名簿に出てきません。

よく探される例では、「夜間・早朝等加算」と「生活習慣病管理料」がこれにあたります。どちらも届出なしで算定できるため、名簿を全部調べても1件も出てきません。名簿に無いことは、その医療機関がやっていないことを意味しません。

医療の質

施設基準は人員・設備・体制の条件であって、治療の結果や患者の満足度を測ったものではありません。届出の数が多い医療機関が優れている、ということでもありません。当サイトが順位付けをしないのはこのためです。

名簿の新しさ

名簿は毎月更新されますが、更新日は局によってばらばらです。月初に出す局もあれば中旬に出す局もあり、同じ時期に見比べても基準日が2か月ほどずれることがあります。

そのため当サイトでは、全国共通の「データの日付」を使っていません。医療機関のページには、その医療機関を掲載している局の基準日を出しています。

また、診療報酬は2年ごとに改定され、そのたびに加算の名称・要件・点数が変わります。改定の前後には、古い名称の届出と新しい名称の届出が名簿に混在することがあります。

元の名簿を見るには

当サイトの各ページの下にある「出典・データについて」から、元のファイルへのリンクをたどれます。厚生局のサイトで直接探す場合は、局のトップページから「保険医療機関・保険薬局の方へ」といったメニューに入り、「届出受理医療機関名簿」を探してください。

なお、局のトップページから最初にたどり着くのは「直近届出分」というページであることが多く、これはその月に受理された分だけの一覧です。全体版の名簿はもう1〜2階層先にあります。

まとめ

  • 施設基準は、特定の診療報酬を算定するために満たすべき人員・設備・体制の条件です。
  • 条件を満たした医療機関は地方厚生局に届け出て、受理されると算定できるようになります。
  • 受理された届出は「届出受理医療機関名簿」として毎月公開されています。誰でも見られます。
  • 名簿から分かるのは「届け出ている」という事実だけで、実際の対応の可否は分かりません。
  • 届出が要らない加算もあるため、名簿に無いからやっていない、とは言えません。
制度は改定されます

診療報酬は2年ごとに改定され、加算の名称・要件・点数が変わります。この記事は2026年9月10日時点の内容です。最新の内容は厚生労働省の資料でご確認ください。

この記事は制度のしくみを説明するもので、特定の医療機関の受診をすすめるものではありません。診断・治療については医師にご相談ください。

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