在宅療養支援診療所とは(4つの類型と、機能強化型の違い)

訪問診療を探すと「在宅療養支援診療所」という言葉が出てきます。24時間の連絡体制と往診体制を届け出た診療所のことですが、実は4つの類型があり、体制の作り方がかなり違います。名簿では正式名称が「別添1の『第9』の1の(3)に規定する在宅療養支援診療所」のように書かれていて分かりにくいので、対応関係から説明します。

在宅療養支援診療所とは

通院が難しい患者の自宅や施設に医師が定期的に訪問して診療する、いわゆる訪問診療を担う診療所の届出です。共通する土台は24時間の連絡体制と、24時間往診できる体制です。

この届出があると、在宅時医学総合管理料や在宅ターミナルケア加算などで、より高い点数を算定できます。制度上、在宅医療の中心的な担い手として位置づけられています。

4つの類型

通知の「第9」では、(1)(2)ア(2)イ(3) の4つが定義されています。名簿にはこの条項番号がそのまま名称として載り、略称で区別されています。

名簿の略称通知の条項通称全国の届出
支援診1(1)機能強化型・単独型300件
支援診2ア(2)ア機能強化型・連携型4,418件
支援診2イ(2)イ機能強化型・連携型2,294件
支援診3(3)通常型11,039件

当サイトの個票では、この略称ではなく通知の正式名称をそのまま載せています。名簿の記載を書き換えないためです。類型を見分けたいときは、上の表と照らしてください。

機能強化型・単独型(支援診1)

1つの診療所だけで、すべての条件を満たす類型です。条件はかなり重いものです。

  • 在宅医療を担当する常勤の医師が3名以上
  • 24時間連絡を受ける医師または看護職員をあらかじめ指定し、連絡先を文書で患者・家族に渡していること
  • 24時間往診が可能な体制。往診担当医の氏名と担当日を文書で渡していること
  • 24時間の訪問看護が提供できる体制(自院または連携先の訪問看護ステーション)
  • 緊急時に入院できる病床を常に確保していること(無床診療所は他の医療機関との連携で)
  • 過去1年間の緊急の往診が10件以上
  • 過去1年間の在宅での看取りが4件以上(または15歳未満の超重症児等への在宅医療4件以上)

常勤医3名という要件が効いて、全国で300件しかありません。訪問診療の届出がある医療機関全体から見るとごく少数です。

機能強化型・連携型(支援診2ア、支援診2イ)

複数の医療機関が連携して、上と同じ水準の体制を作る類型です。単独では常勤医3名を確保できない診療所でも、連携すれば機能強化型になれます。

  • 連携する医療機関を合わせて、在宅医療を担当する常勤医師が3名以上
  • 連携先と協力して24時間の連絡担当者を決め、連絡先電話番号を一元化していること
  • 連携できるのは診療所と200床未満の病院で、自院を含めて10未満

アとイの違いは、24時間往診体制を自院で確保するか、連携先と協力して確保するかです。イは「アの①、②及び④から⑲までを満たす」としたうえで、往診体制を連携で作ることを認めています。

連携型では、往診に来るのが別の医院のことがあります

連携型は最大10の医療機関で当番を組みます。夜間や休日に往診を頼んだとき、いつもの主治医ではなく連携先の医師が来ることがあります。事前に往診担当医の氏名と担当日を文書でもらえることになっているので、契約時に確認しておくと安心です。

通常型(支援診3)

最も多い類型で、全国11,039件です。24時間の連絡体制と往診体制、訪問看護の体制は必要ですが、常勤医師3名以上や、緊急往診10件・看取り4件といった実績の要件がありません。

往診体制についても「当該診療所において、又は別の保険医療機関の保険医との連携により」とされていて、単独でも連携でも構いません。要件が緩いぶん、届け出ている診療所が多くなっています。

病院にも同じしくみがあります

200床未満の病院には「在宅療養支援病院」という対応する届出があります。全国の内訳はこうです。

略称通称全国の届出
支援病1機能強化型・単独型313件
支援病2機能強化型・連携型626件
支援病3通常型1,328件

探すときに見ておくとよいこと

当サイトの訪問診療・在宅医療の届出がある医療機関では、これらの届出をまとめて「訪問診療・在宅医療」として扱っています。個票を開くと、どの類型を届け出ているかが正式名称で出ます。

ただし、類型が上だから良い医療機関だ、という話ではありません。機能強化型は24時間体制と実績を組織的に持っているという意味で、通常型でも主治医が丁寧に往診してくれることは当然あります。実績要件は過去1年の件数なので、開業して間もない診療所は満たしようがない、という事情もあります。

名簿からは分からないこと

訪問診療には対応できる地域の範囲があります。原則として医療機関から半径16キロ以内とされていますが、実際にどこまで来てもらえるかは医療機関ごとに違います。また、新しい患者を受け入れているかどうかも名簿には出ません。必ず直接お問い合わせください。

まとめ

  • 24時間の連絡体制と往診体制を届け出た診療所です。4つの類型があります。
  • 機能強化型は常勤医師3名以上、緊急往診10件以上、看取り4件以上の実績が要ります。
  • 単独でその条件を満たす診療所(支援診1)は全国で300件しかありません。
  • 最も多いのは実績要件のない通常型(支援診3)で11,039件です。
  • 連携型は最大10の医療機関で体制を組みます。往診に来るのが別の医院のことがあります。
制度は改定されます

診療報酬は2年ごとに改定され、加算の名称・要件・点数が変わります。この記事は2026年9月10日時点の内容です。最新の内容は厚生労働省の資料でご確認ください。

この記事は制度のしくみを説明するもので、特定の医療機関の受診をすすめるものではありません。診断・治療については医師にご相談ください。

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